名波の読書記録

読書記録、映画鑑賞記録

読書記録

「若い読者のための種の起源」の読書記録

当時、種は神が創造したものというのが一般論であった時代に、進化論を唱えることは容易でなかったと思われ、ダーウィンの苦労が垣間見れる。 ダーウィンにとってビーグル号での航海はこの上なく幸運な体験だっただろう。 後に、隕石衝突による大量絶滅であ…

「利己的な遺伝子」の読書記録

長い進化の中で淘汰され生き残ってきたものは遺伝子だった。生き物はただの遺伝子の乗り物にすぎない。 子孫を残すにあたっての男女の特性であったり、血縁の濃さを鑑みての利他性の発揮であったり、進化の過程は非常に興味深い。分かりやすい例えも多く、専…

「藍を継ぐ海」の読書記録

物語に科学の視点が織り込まれることで、知識欲が満たされる。読んで一つ賢くなったと思わせてくれる本。 「祈りの破片」が悲しい現実と向き合わなければならない人間の感情が滲んでいて良かった。言葉はなくとも、ほんのひとときでも、気持ちが重なることが…

「迷いのない人生なんて 名もなき人の歩んだ道」の読書記録

共同通信社により新聞連載された「迷い道」というコラムをまとめた本。迷いながら人生を歩んでいる人々の姿がそこにある。 人生では思いも寄らない出来事が起きる。それが病や事故といった一般的に不幸とされるようなこともある。普通の幸せというのは案外難…

「青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏」の読書記録

宮沢賢治の書籍をもう一度読みたくなる本。地学の観点から文学に迫るのは面白いと感じた。 壮多にとっての鹿踊りのように、これがあれば大丈夫(生きていける)と思えるものを見つけられたらいいと思う。

「白いへび眠る島」の読書記録

生き物は自分が生きられる環境を求めて移動する。人間も例外ではない。人間と一口に言っても、人付き合いが苦手、賑やかな土地が肌に会うetcいろいろな性格の人がいる。土地や人間関係に縛られる必要はない。自分が暮らしやすい環境を求めればいい。その中で…

「氷点」の読書記録

作中の「社会が複雑になればなるほど、個人の人格も価値も無視される。その人間でなければならない分野はせばめられて行くだけなのだ。」という言葉が印象的だ。夏枝も美貌の妻という価値あるものの括りではなく、一人の人間として見られていれば、心が移ろ…

「オオルリ流星群」の読書記録

若い頃の人生設計では明るい未来が描かれるが、ある程度人生を歩むと、こんなはずではなかったと歯を食いしばらなければならない時期もある。何もせずに耐えるのか、もがいてみるのか、新天地を目指すのか、乗り越え方はそれぞれ。一つの方法として、人間は…

「同志少女よ、敵を撃て」の読書記録

勝手に頭の中で動き出すような、個性的で愛らしい登場人物たちが印象的だ。一人一人に物語があるのだろう、小説では見えない部分まで想像させられる。 私たちが倒すのは何でしょう。それは誰しもが同じ答えにはならない。単純に敵味方で分けられるものではな…

「傑作はまだ」の読書記録

もし、大切な人を蔑ろにしてきてしまったと気がついたとして、悲しいことに昔に戻って何かできるわけではない。今から急いで何かをしても、取り返せるものではない。その間に積み重なったものがあるわけで、それこそ、いまさらであったりする。 私たちはこれ…

「月魚」の読書記録

「水に沈んだ私の村」の爽やかさったらない。夏の暑い青い空。気心の知れた友人たちと優しい時間を過ごせたら…。 もし「この人とは理解し合えるかもしれない」と思える人がいて、関係を築いていきたいと思うなら、少し勇気はいるかもしれないけれど話しかけ…

「か「」く「」し「」ご「」と「」の読書記録

自分以外の生き物が何を考えているかなんてわからない。誤解をすることもある。それでも、時間をかけて関わる中で、わかることもある。それは、その人の性格だったり好みだったり癖だったり。それの積み重ねで信頼が生まれるのだと思う。 「やりたくないこと…

「夜のピクニック」の読書記録

高校生の頃を思い出す。自分のことと目の前にあることしか意識が向いていなかった。今の先に続きがあることも、自分と誰かが繋がっていることも、まったく気が付いていなかった。もしかしたら、自由でいたいから繋がりなんて煩わしいと思っていたのかもしれ…

「本日は大安なり」の読書記録

結婚式と聞いて何を思い浮かべるだろう。幸せな花嫁、独身生活の終わり、莫大な費用。何のために、誰のために式を挙げるのか。そこに何を託すのか。非日常であることは間違いない。 その後に続く日常に繋がる、最良の一日を願って。

「琥珀の夏」の読書記録

子供にとって、大人たちは完璧でなんでも知っているもの。正しいことを知っているから叱るのだ。そう思っている。子供は大人たちの言葉を信じる。 中でも信じている大人からの言葉の力は大きくて、いつまでも心に残り続ける。大人になって、完璧な人間なんて…

「ツナグ 想い人の心得」の読書記録

日曜日に太陽が頭上高くに昇るまで寝ていたら、あの人はなんと言うだろう、そう思いながら一緒に生きていく。二度と会えない大切な人、心の中でいつでも会える。

「ツナグ」の読書記録

死んでしまった人に会いたいと思うのは、未練があるからだ。伝えたいことがあったり、気持ちを知りたかったり。また顔を合わせるのだと思うと、気まずくなりたくなくて言えないこともある。波風立たずになんて思ってしまう。 後がなくなってから言えるなんて…

「ののはな通信」の読書記録

一人になって寂しいと心を閉すのではなく、あなたならどう思うだろうか、と開いた心で考えて理解し続けることができたなら…ののはそうして考えて理解し続けた。悩みながらも前向きな心を見習いたい。今触れ合う人とも、これから巡り合う人とも、広い心で付き…

「エレジーは流れない」の読書記録

昭和時代は団体旅行も盛んだった。観光地はその恩恵もあり栄えていた。今となっては昔のお話。 そんな土地にある、観光客を相手に商売をしている家でたびたび考えられてきたのだろう。家業を継ぐのか、継がないのか。 学びたいことを学べる環境があるのだか…

「美しい星」の読書記録

人間はこの世界を生きている。夢や妄想の中ではなく、現実を生きている。お腹が空けば食べて、寒ければ暖をとって、星を美しいと感じて、優越感や劣等感を抱きながら生きている。私たちは生活をしている。私たちは悲しみや慈しみを感じる心を持っている。そ…

「流星ワゴン」の読書記録

結婚、転職という自分で人生を決めたんだとわかるものもあるけれど、もっと些細な場面で、それこそ日常の積み重ねで人生は変わってくる。自分にとって大切なものは何か、失って初めて気がつくこともあるだろう。大切なものを蔑ろにし続けて取り返しのつかな…

「対岸の彼女」の読書記録

生活の中で本当に大事なものはどれだけあるだろう。忙しく生きるばかりで本当に大事なものがわからなくなっている。 私達はどこまでも行けるなんて感覚はずいぶんと前に忘れてしまった。学生の頃はそう思えたこともあったような気もする。同じものを見て同じ…

「オルタネート」の読書記録

出会う手段は何でもいい。ただ、同じ空間で時間を共有したことは何にも代え難い。それが感情を揺さぶられる事象であればあるほど。

「檸檬先生」の読書記録

子供は素直だ。知らないものには恐怖を感じるが、理解すれば歩み寄る。そして、まだ自分の世界が作られていないからこそ、世界の一部として受け入れることができる。 思春期を迎えるとまた違う。世界はある程度作られてしまうし、教室に一つの社会が出来上が…

「闇祓」の読書記録

暗い空気を纏ったお話なので、元気なときに読むのがよさそう。 人を狂わせるのに特別な力は必要ない。言葉と行動を積み重ねれば圧力になる。形は歪んでいく。誰でも狂わせる側に回れるのだ。そして、狂わされる側にもなるのだ。 誰でも影響されることはある…

「君たちはどう生きるか」の読書記録

本作は「倫理」を題材とした小説風の教科書といったところだろうか。軍事国家となり言論の制限が始まっていた当時、少年少女に送る本として出版された。 誹謗中傷の多い世の中で、読んでほしい一冊。日々の流れの中で忘れてしまっていた、人間としてこうある…

「氷菓」の読書記録

物語は平成12年の公立高校が舞台。限られた手がかりで、今の生徒には忘れられてしまった33年前の出来事の真相に迫るお話。 同じ高校であっても時代により生徒たちの心持ちが全く違うのが印象的。かつて学生運動が盛んな時代があって、現代よりも自主的な意思…

「百年の孤独」の読書記録

理解できない部分も多かったので、感覚になるがとりあえずまとめてみる。 一族が滅びるまでの話。孫、曾孫…と血が繋がった者が登場する。家族であっても明らかな愛情を表現することのない一家だが、失ってから大事であったことに気づくような描写が随所に見…

「潮騒」の読書記録

こんなに綺麗な小説があるのだろうかと思うくらいに、ひたすらにまっすぐで美しくて素朴な純愛小説。 自然と人が寄り添った生活が残る、伊勢湾の小さな島が舞台。必然と海の描写も増える。朝の海、昼の海、夜の海。広くて大きな海が、単調だが力強い島民の生…

「金閣寺」の読書記録

本作は三島由紀夫の代表作のひとつに挙げられることが多い。実際にあった金閣寺放火事件を題材に、主人公が放火に至るまでの心理を丹念に掘り下げて描写している。 三島氏は政治的主張が強い人物というイメージがあったので、情景豊かで詩的な文を読んで驚い…